つているよ」
7
藤枝は新しいシガレットに火をつけながらおもむろに語りはじめた。
「第一の欠陷、しかして同時に僕の考えに従えば警部のテオリーの根本的の欠陷は、第一、第三の犯罪と第二のそれとを全く別に見ているという事だ。十七日の犯罪と二十日の犯罪とが全然関係なく偶然だと考えることがこの際甚だしく不自然だという事は、僕は充分な自信を以て云い得ると思う。第一の犯罪と第二の犯罪とは著しくやり方が違つている。これはかつて君にはつきり述べた筈だ。つまり犯罪に表われた個人の個性がはなはだしくちがつている。この点に目をつけたのは高橋警部の賢明な所だと云えるが、彼の着眼点はいいけれども推理の方法を誤つている。犯罪のやり方が余りちがうので彼は犯罪の主体、すなわち犯人が異つていると推断した。しかしこれはあの時も云つた通り、そうではない。主体は違わないのだ。主体は違わないのだが犯行当時の犯人の心理状態が著しく変化したことを表わすにすぎないのだ[#「主体は違わないのだが犯行当時の犯人の心理状態が著しく変化したことを表わすにすぎないのだ」に傍点]。度々云つた通り、僕らは第一と第二の犯罪の間に、佐
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