が脅迫状を送つたのでない事が立証出来たつて、それは、彼女に脅迫罪が成立しないというだけで、殺人事件とは別問題だよ。そんなに青筋をたててさわぐほどの事でもなかろうよ。……それに、脅迫状を送つた人間が外部に存在するという事は、昨日の怪しい電話でも立証することが出来る。昨日あの際、ひろ子が誰か外部の人に、通信するひまはなかつた筈だ。従つてひろ子が外部の人に電話をかけさせるひまはどう考えてもなかつたわけだからな。僕はその外部の奴はたしかに女だと思つた。女の声だつたというし十七日に僕のオフィスに電話をかけたのも、それから、同じ日の午後敷島ガレーヂに電話をかけたのも女だつたというから、まず素直にそう解釈した方がいいよ。ところで君は、警部の論理にその他に不満はないかね」
「不満と云えば全部不満だよ」
 私は不機嫌そうに云つた。
「ねえ君、ひろ子の論理に見逃し難き欠点があつたように、警部のそれにも重大な欠陷があるのに気がつかないかい」
「え?」
 私は救われたように藤枝を見た。
「僕は警部が並み並みの人でないことは認める。ひろ子に嫌疑をかけたのはさすがた。しかし、次の四つの点について僕は大いに疑問をも
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