になる」
「何、ひろ子が犯人?」
私はとび上らんばかりに驚いた。
「そうさ。警部の論理に従えば、どうしても今回の殺人犯人はひろ子以外の者ではない、ということになるのだ。警部はすでに前からひろ子に目をつけていたそうだ。それで今日ひろ子の説をきくに至つていよいよ確信を得たと云う。彼は僕をよんで自分の説を一応述べた。実に自信に満ちた調子でしやべつたがそのテオリーはまずこうなんだよ。
「警部の説に従えば、ひろ子に第一の母殺しの動機を与えたものは、さだ子、伊達二人と母との論争にあつた。母はどちらかというとひろ子にとつて味方である筈で、敵ではない。父親こそ、さだ子、伊達の味方なのだ。だからひろ子が母を殺すなどということはありそうもない。しかしこれは通常の犯人に対していうことで、ひろ子のように素晴らしい頭のもち主にはあてはまらない。ひろ子の最終の目的は[#「ひろ子の最終の目的は」に傍点]、財産を自己一人の手に入れることと[#「財産を自己一人の手に入れることと」に傍点]、異母妹さだ子らに対する烈しい嫉妬をはらすことである[#「異母妹さだ子らに対する烈しい嫉妬をはらすことである」に傍点]。彼女はまず駿
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