い出さぬ」に傍点]かと云つたね。あれと同じことをさつきひろ子がやはり、云つたね。どういうんだい、あの意味は?」
 彼はピシャリと机を叩いた。
「うん、えらいよあのお嬢さんは。第二の事件の時も第三の事件の時にも、さだ子が林田に調べられていた。これを変に思わないか、と来たね」

      2

「そうさ。つまり、仮りにさだ子があの間にどこかへ行つたかも知れないとして、林田が何かの理由で彼女をかばつているのではないか、というのがひろ子の推理なんだ」
「うん。観察点は実にいい。しかしその推理に僕は賛成しかねるのだ」
「どうして? もつとも君はあの時、林田がさだ子をかばうなどは断じて不可能だと云つたつけな」
「そう思う理由があるよ。君、林田ははじめからさだ子に好意をもつてはいないんだぜ」
「だつてさだ子は君より林田の方をずつと信用しているが」
「そりやそこがわれわれ探偵の腕前さ。林田はその実、決してさだ子の味方ではない――いや、むしろさだ子を疑つてる一人かもしれないが――それにもかかわらず、君の云う通り、さだ子の絶大の信用を博しているということはすなわち彼が探偵の資格を充分にもつていることを証
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