か」
藤枝は非常な緊張した様子でひろ子を見つめた。私は彼が次に何と云うかと思つて息をつめて彼の顔に注意した。
「そうですか。私は必ずしもあなたの訴えをおとどめするつもりはありません。しかし、あなたがそれだけの確信を以て断言なさる以上、二人を殺人犯人と断ずるだけの理由を充分おもちのことと思います。一応それをきかして下さいませんか」
「それはもう充分にもつているつもりでございます。先生、私は、二人が犯人でないという理由をうけたまわりたい位のものでございます」
藤枝はエーアシップを口にくわえると手早くそれに火を点じた。
「十七日の事件が起るまで、父の所に脅迫状がまいりました。そうしてその中一つさだ子の所にも来たと妹は申しております。先生、これは少しおかしくはございません? 十七日の午後、母に薬をすすめたのはたしかにさだ子でした。そしてあの夜、さだ子と伊達さんが母と烈しく争つていたのでございます。その結果、夜中に母が苦しみはじめました。この時、さだ子は着物をきたままでかけつけました。これは私がはつきりとおぼえております。あんなにおそく妹はどうして着物のままでおりましたでしようか。母は死ぬ時
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