えた時、林田と並んでさだ子と伊達が顔を出した。
「小川さん、お姉様の花を見ていらつしやいますの? 其の隣が私の花壇ですのよ」
「そうですか。これも美しいですね」
「一つ僕も拝見しようかな」
林田が云つた。
「いらつしやいよ。ほんとにいい景色だから」
林田はちよつと考えているようだつたが、さだ子に何か云つてから、
「じや僕も下りましよう」
と私に声をかけた。
「ああ直ぐ下りなさい。待つてるから」
私のいうのに応じて、三人の顔が窓から消えた。正にその刹那だつた。
突如家の中から、絹を裂くような女の叫び声がきこえた。
私はこの時の恐ろしさを、おそらく墓場に入るまで忘れないであろう。全く裂帛《れつぱく》の叫びとはこの時私がきいたのをいうのだろうが私はその刹那全身が一時に凍つたかと思つたのである。
「誰か来て! 誰か! 先生! 小川さん」
まぎれもなくそれはひろ子の悲鳴だ。
瞬間、石のようになつていた私は、その言葉をはつきりきくと弾丸の如く――否、おそらくはそれ以上のスピードで、花壇を一とびにとび越えて、ガラス戸の入口から中におどりこんだ。
夢中になつて靴のままおどり込み、その
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