まま真直ぐに進んで行くとまつさおになつて倒れかかつているひろ子に危くぶつかりそうになつた。
「ひろ子さん! どうしたんです? どうしたんです?」
 ささえるように私は彼女の肩に手をかけて叫んだ。
「初江が! 初江が!」
 気丈のひろ子も、余程恐ろしいものを見たらしく、これ以上口がきけぬようすでただ右手を延ばして風呂場の方をさすばかりである。
 ところへ、林田、さだ子、伊達が驚いてかけつけた。
「どうしました? ひろ子さん」
「初江が……あそこで……」
 ひろ子はこういつて私にぐつたりと倒れかかつた。あわててさだ子と伊達が抱きとめたが私はこの時ひろ子がつぶやくように云つた言葉を聞逃がさなかつた。
「風呂場の花嫁! おそろしい! 風呂場の花嫁!」

      6

 ここで、私は恐ろしい風呂場の惨劇を展開する前に読者に風呂場の位置を、はつきりとお伝えしたい。
 玄関を上つて左手が笹田執事の室、反対に右側が応接間であることは既述の通り。応接間のすぐさきがピヤノの部屋で、そのまたさきに、ガラス戸の入口がある。
 玄関からまつすぐ廊下があり、やや右に曲つてはいるがそのつきあたりが二階へ通ずる階
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