はあ」
 さだ子は答えながらちらと私達の方を見て語りかねているらしい。
 このさだ子の有様は完全にひろ子を怒らしてしまつた。
「さださん。あんた林田先生とお部屋でお話にならないこと? 私、小川さんとここでお話していますから」

      4

 ひろ子はズバリとこう云つてツンと横を向いてしまつたが、さだ子もこの時は少しも驚かなかつた。
「では先生、私の部屋においでになりません? いろいろ申したいこともございますから」
 ひろ子とさだ子の憎み合いは、林田と私の前に全く露骨にさらけ出されて来た。
「そうですか。じやそうしましよう。ひろ子さんも小川さんとお話があるのではね」
 さすがに林田は巧みに二人のどつちにも花をもたせた調子で立ち上つた。
「どうぞごゆつくり」
 ひろ子は、林田にも冷やかに云いながら私の方をちらとながめた。
 さだ子はこれも珍しくツンとした様子で林田と共にドアから出て行つたが、やがて階段を上つて行く足音がきこえた。彼女は自分の部屋に林田を引きとめて恋人の取り調べられた有様を充分語るつもりなのだろう。
 私ははじめて応接間にひろ子とたつた二人、差し向いになつてやつとほつと
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