意をせよ」に傍点]。と。
しかしこれを実際問題に応用するとなると、到底不可能な事に属するではないか。
今自分が注意できるのは林田とひろ子の様子だけである。
さだ子と伊達は婚約者で二人が今二階のさだ子の部屋にいるのだ。まさかそこの戸口で二人の恋人のささやきを立ちぎきするわけにも行かない。
主人は、鎮静剤のおかげで床の中でうとうとしているというのだ、これも二階にねているわけであるがこの一人の所に行くには第一医者に相談しなければなるまい。
初江が一人になつているはずだが、初江は今風呂場にいる。若いお嬢さんの裸体姿の側に行くなんてことは思いもよらぬ事である。
こう考えて来ると、藤枝の註文は全く無理と云わなければならない。
私がいろいろと心の中で考え、結局藤枝の註文を批難している所へ、伊達とさだ子がはいつて来た。見ると、毎日の取調べで伊達は大分やつれているが、でも中々元気だ。
「お話はすんだのですか。どうでした、警察のほうは」
「はい、いろいろご心配下さつてありがとうございます。今やつと許されて来たんですが、どうも警察では私を疑つてるようで困つちまうのです」
「林田先生、伊達さんは
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