ゆうございましようか」
「そりや結構です。喜ぶでしよう。是非つれてつておやりなさい」
ひろ子と初江とは何かひそひそ話していたが、相談がまとまつたとみえて、
「じや久や[#「久や」に傍点]をつれて行つてやりますわ」
とひろ子が云つた。
「お父様には無論おつしやつたのでしようね。お許しが出なければだめですよ」
「ええ、そりやもうちやんと申しましたわ。父もはじめは、不幸のあつたすぐあとで、出歩くのはどうかと云つておりましたんですが、藤枝先生からわざわざそう云つて下さつたという事を聞いて、じや矢張りご好意に甘えて連れてつて頂いたがよかろうつて申しておりますの。父もお目にかかつてお礼を申し上げたいつて云つております」
それから二人はまた部屋を去つたが外出の支度でもしているのであろう。
ちようどそこへ、駿三がやつれた顔をして現れた。
「どうも大変な事でさぞお疲れでいらつしやいましよう。如何です、お工合は?」
「いや、全く弱つております。先日は頭がへんになつておりましたので、藤枝先生にもとんだ失礼な事を申し上げてしまいました。どうかあなた様からよろしくおつしやつて……お気にさわつてなさること
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