に帰つて行つた。
「実はね」
 こう云つたが、苦しそうに彼はゴホンゴホンと二つ三つ咳をしながらつづけた。
「昨夜熱でよく眠れないんで、例の事件をいろいろに考えて見たよ」
「うん、うん」
「事件は依然として謎だ。いろいろに考えられる。警察の方も余りはかどつていないらしい。そこで僕は、ある考え方を進めて見たんだ。その結果、僕は三つの大切な結論に達した。昨日君に頼んだ事と少し変つてくるからよくきいてくれ。もし、将来、警戒すべき事件が起るとすればだ[#「もし、将来、警戒すべき事件が起るとすればだ」に傍点]。第一[#「第一」に傍点]、一番危険な場所は秋川邸内だ[#「一番危険な場所は秋川邸内だ」に傍点]。従つてその家族を保護するには、彼らを家から外に出す工夫をしなければならぬ。第二[#「第二」に傍点]、昨日は君にひろ子とさだ子に注意してくれと頼んだが、これを今改める。君は、将来、あの家族は勿論、あの家にいる者、来る者全部の行動に注意してくれ給え[#「あの家にいる者、来る者全部の行動に注意してくれ給え」に傍点]。たとえそれが警官であろうと医師であろうと同じ事だ。勿論君一人でこれら全部を一眸の中におさ
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