こんな話をしている所へ、ひろ子がさだ子と一緒にはいつて来た。
「小川先生、藤枝先生がご病気なんですつてね」
3
「ええ、風邪をひいちまつて困つてるんですよ」
まさかお宅の煙草のおかげで咽喉を悪くしたとも云えない。
「でもあなたがおいで下さつてほんとに安心致しましたわ。それに林田先生もずつといて下さるつておつしやるので……」
「はあ、私なんかは役には立ちませんが、当分お淋しいだろうからお相手でもするように、と藤枝が云いますので」
これも、まさか監視に来たとは云えないのである。
「父も実は大変喜んでおりますのよ」
「おや、御機嫌がなおりましたか」
こう云つたのは林田であつた。
「はい、一時は大変力を落して、もうどなたにもお目にかからぬような事を申しておりましたのですが、昨日もああやつてお運びを願つた事をきいて今日はもうすつかり感謝しております」
さだ子が云つた。
「ただ木沢先生が今日一日はどなたにも会わずに静かにしていた方がよい、と申されますので今日は失礼するから、私共からくれぐれもお礼を申し上げるようにつて只今云つておりました処でございます」
ひろ子があとを引
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