来るかも知れない」
「かも[#「かも」に傍点]じやないよ。願つてもないいい役目じやないか。そして少しでも変つた所があつたらすぐしらせて貰いたいんだ。それから警察の方にも君の事をよくたのんでおいたから、便宜をはかつてくれるだろう。早川辰吉の方の事も時々きいて貰いたい」
「よろしい。引き受けよう」
「ここで林田におくれるのは残念だけど、今はそんな事を云つてる場合でないから、林田にも電話で令嬢の事を一言云つておいた。彼はちよつと前僕を見まいに来てくれたが、僕と同意見らしいから充分二人に注意する筈だよ」
 彼はかなり苦しそうにこう云つたがしばらくしてまたつづけた。
「一番大切な事は、事態が切迫しているらしく思われるということだ。かりに早川が犯人だつたとすれば僕の心配は杞憂に終るわけだが、そうなりや幸さ。ともかくもし事がおこれば決して五月一日まではまたないよ。ここを充分気をつけてくれ給え」
 こう云う間も気にかかる、という様子なので、藤枝の所を辞するとすぐ私は秋川邸へといそいだ。
 時計を見ると、十一時ちよつと過ぎである。これからゆつくり保護だか監視だかしておれば無論|正午《ひる》をすぎるわけだ
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