点]さん、私も腹が立つたから、さつさとお帰りと云つて帰してやつたわ。だつて、叔父つていう人が『こんなお化け屋敷みたいな家においておくと、今夜にも清や[#「清や」に傍点]が殺されてしまうかも知れない』なんていうんですもの。私腹が立つたから帰してやつたわ。これで女中が二人になつてしまつたのね」
「でも、清や[#「清や」に傍点]が帰つてしまうと久や[#「久や」に傍点]もしまや[#「しまや」に傍点]も帰るつていうかも知れませんわね」
「じや、私が清や[#「清や」に傍点]を帰したのが悪いつていうの。さださん、そんならあなたが談判してとめればよかつたじやないの」
「お姉様、私そういうつもりで申し上げたわけでは……」
「まあいいじやないですか」
 藤枝が、姉妹――心の中では明らかに反目し合つている二人の間に口をはさんだ。
「帰ろうつていう女中をいくらとめたつて仕方がありませんよ。ひろ子さんが帰したのは決して非難さるべきじやありません。しかしさだ子さんは決してひろ子さんを非難したんじやないんです。……それより、いつたいお父様は、どうなさつておいでですか。まだ眠つておられるんですか」
「そうそう、あの木
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