つたあのさわぎの為に、お父様のはつきりしたお答をうかがう折を失つてしまつたのです。今日になつてうかがおうと考えたのですけれど、御病気だということです。かりに御病気でないにせよ、私は官憲ではないのですから、お父様が私に会うことをお断りになれば強いて御目にかかるわけにはいきません。して見れば、まず私はお父様からは答えて頂けないものと思わなければなりません。林田君だつてそれはきけないかも知れない。結局、これはあなた方お子さんが直接おきき下さるより外に道はないのです。勿論私自身の方でも伊達という人の素性を取調べ中ではありますが[#「勿論私自身の方でも伊達という人の素性を取調べ中ではありますが」に傍点]……」
何故か藤枝は最後の言葉を極めて力強く云つて暫くじつとひろ子の顔をながめた。
「あなたか、さだ子さんか、初江さんにこのことはお頼みしたいのですが、さだ子さんと初江さんは私をどの程度に信じていて下さるか判らない。あなたなら私を信じていて下さると思いますから……」
「無論でございますわ」
「ですから、是非ともお父様にあの点をはつきりきいていただきたい。勿論、機会を捕まえなくてはいけませんよ。む
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