ると不意に彼の方に話を向けた。
「おや、あなたが小間使の役ですか。女中さん達はどうかなさつたのですか」
「はい、昨夜あの騒ぎで皆殆ど眠りませんので、今日はやすませてございますので」
笹田執事は不器用な手つきで紅茶の茶碗をテーブルの上に無事に並べ終ると、余り多くを語らずに部屋を出て行つてしまつた。
「今笹田が申しました通り、女中は皆休ませてございますの。ですけれど、何だかすつかりおびえておりまして部屋から出てまいりませんのよ。どうも三人でひそひそ話をしている所を見ますと、暇でもとろうというのじやないかとおもいますの。でも無理もありませんわ。こんな気味の悪い家に! 私が女中だつたら一日だつていることは出来ませんものね。ほほほほ」
ひろ子はこう云つて笑つたがそれは決して朗らかな笑いとは云えなかつた。
「ひろ子さん。今日は大切な事を一つあなたにお頼みしておきたいのです。御承知の通り昨夜あの事件の起る前に、私はお父様に重大な質問をしていたのです。つまりどうして脅迫状の事をかくしていたかという事、及び伊達正男という人と、御当家との関係についてです」
「存じておりますわ」
「ところが、不意におこ
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