たいけれど、大して得る所はなさそうだよ。無論伊達が殺人を自白すれば別だが……ただ本人がアリバイを立証できぬというだけでは意味がないからね。警察側で、彼が殺人をしたという事を立証できなければ仕方がないよ」
2
秋川邸の玄関についてベルを押すと、出て来たのは笹田執事であつた。
「これは藤枝先生ですか。もう少し前に林田先生が見えてお帰りになりましたよ」
「御主人は御病気だそうで。あなたも中々忙しいでしような」
靴をぬぎながら藤枝がこんなことを云つた。
「全く今日は閉口致しました。朝から新聞社の方々が見えて、御主人にお目にかかりたい、御主人が病気なら令嬢にあいたい、と云つて中々帰らんので、私がいちいち応対致しましたようなわけでね」
「ははあ、じや、今日の夕刊には『秋川家の執事笹田仁蔵氏は憂わしげに語つて曰く』……てな記事が出ますぜ。あなたも大いに有名になるわけだな」
「とんでもない。こんな事で有名になんかなりましては」
こんな事を云いながら、笹田執事はわれわれ二人を応接間に通した。
「勿論、御主人にはお目にかかれますまいから、令嬢に御目にかかりたいんです。おや、これじやつ
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