来ました。刑事部屋に今待たしてありますが、のちにきいて見る積りですよ」
 と云つた。
 藤枝は、腕時計にちらと目をやつたが、何を思い出したか、つと立ち上つた。
「さて、僕はともかく一度秋川家を訪問して来よう。主人公には撃退されるかも知れないけれども、誰かには会えるだろうから……林田君、君は一つこの早川辰吉という人のいう所をよくきいてくれ給え」
「藤枝さん、伊達の取調べはいいですか」
「さあ、ききたいですが、ちよつと急ぐことがあるので……」
 彼はこういいながら一|揖《ゆう》すると私を促すので、私も高橋警部と林田にあいさつしながら、部屋を出た。
「ここから大して遠く[#「遠く」は底本では「違く」]もなさそうだから、ぶらぶら歩いて行つて見ようよ」
 何となくおしつけられるような警察の建物から出て、四月の青空の下に出た私は、解放されたようないい気持になつていた。
「ねえ君、早川というあの男ね。犯人だろうか」
「さあね。しかし、邸宅侵入は明らからしいね。警察では邸宅侵入の罪で当分身柄を拘束するだろうよ。それからじわじわと殺人の方にとりかかるのさ」
「伊達の取調べはきかないでもいいかい」
「きき
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