だよ、高橋さん、あなただつてそうですぜ」
「ほう、そんな有様ですか」
「木沢医師の話によると、昨夜のショックで元来神経衰弱なのが一層ひどくなつているらしいんだ。昨夜あれから興奮して、まるで眠れぬ上、調子が妙なのでゆうべおそく、木沢医師がよばれたそうだが、先生もちよつと手がつけられず、抱水クロラールかなんかのましてやつとねかしたというんだ。今僕が行つた時は眠つてるということでしたよ。何でも警察も探偵も全く信用出来ぬから、以後誰にも会わん。予審判事の令状でも持つて来ない限り、警察人にも会わんと頑張つていたそうです」
「おやおや、一番信用があつた筈の君が会えないとすりや、僕はとても駄目だね」
 藤枝が、頭をかきながら苦笑した。
 林田はそばの椅子に腰かけたが[#「腰かけたが」は底本では「腰かけたか」]、今まで不思議そうに林田と藤枝の会話をきいていた早川辰吉をじろりと見ながら、高橋警部に、小さな声で、
「これが、さつきの、あれですね」
 と云つた。
「そう」
 と高橋警部がこれも小声で答えたが、今度は藤枝、林田両名に向つて、
「伊達ですがね。あの男も一応調べたいのでさつき刑事をやつて同行させて
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