、出て行く、と申すことでしたので、私は電話を切つてしまいました。
それで、やす子が逃げてしまわぬよう見張りをやつて居りましたけれども十九日はどうすることもできません。昨夜、よくおぼえませぬが、八時ちよつとすぎ塀の外に行つて合図をしましたが一向に返事がありません。またしばらくたつて多分九時前でしたろう、私は塀の外からもう一度合図の草笛をふいたのです。
「するとしばらくたつてから、庭の方から石がとんで来ました。見ると紙がまきつけてあります。心をおどらせてひろげ、むこうの街燈の所まで行つて開いて見ると鉛筆の走り書きで今スグ行クカラムコウノポストノソバニイテオクレというのです。私はもはや一刻も待ち切れません。石のとんで来た塀をのりこえていきなり中に飛び込みました」
6
「塀に手をかけて、身軽に塀の上に乗つた私は、多分桜の木でしよう、大きな木の幹に伝つて、すぐ中にはいり地上に下りました。この時はやす子に会いたいので夢中だつたので、無論外から中の様子を研究した後ではなかつたのですが、塀の外から見て、木のこんもり茂つた暗い庭に出るとは考えていました。
いきなり庭の中に飛び下りた途
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