だつたのですが、さて門の前まで行つて見ると、余り立派なので急におそろしくなり、いつか彼女が出て来たら会つた方がいいと思いなおしました。電話をかけて相手に警戒されるのもつまらぬと考えて機会を待つていたわけです。するととうとうその機会がやつて来ました」
「ちよつと」
 藤枝が、急に口を出したが、ちらと警部の方に許しを乞うような顔付をした。
 警部も別に反対しなかつたらしいので、彼は早川辰吉の方に向き直つた。
「それがつまり今月の十七日の午後だつたのだろう。佐田やす子が秋川邸を出て薬屋に行つた時、君は彼女に会つたわけだね」
 この質問は私にとつてはまつたく意外だつた。
 しかし早川は別に驚きもせずに答えた。
「はあ、本人もそう申しましたのですか。おつしやる通り、あの日の午後、私はやつとやす子をつかまえたのでございます」

      5

「会つた時の話を詳しくしてごらん」
 今度は警部が早川に向つて云つた。
「はい。あの日、やはり私は、いつもの通り秋川家のまわりをうろうろしておりますと、何時頃でしたか、ともかく夕方、裏門から彼女らしい女が出てまいるのです。すぐにかけつけて話をしようと存じま
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