出すということには多少の不安を感じないではありませんでしたけれども、今申したように金が無くなつたので、これはどうもやむを得ないことだつたのです。
 やす子の様子が怪しく思われはじめたのは九月|半頃《なかばごろ》からでしたが、でもこれは私の邪推だと思つて我慢をしておりました。丁度その頃私も何か働かなくてはならないので、やつと小さな印刷屋に、毎日出て働く口を見つけ[#「見つけ」は底本では「目つけ」]ました。
こうやつてまず九月は無事にくらしたわけです。
 十月にはいつて丁度五日の日でした。私は終日働いてやつと夕方六時頃、うち――といつても無論間借りなのですが――に帰つて見ると、やす子がいないのです。気がついて見ますと、やす子の持物が全くありません。畜生! 情夫を作つてとうとう逃げやがつたな! と私は思いました[#「ました」は底本では「ました。」]」

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「それから私はおはずかしい話ですが、全くやす子を探すので夢中でした。私は毎日餓鬼のようになつて名古屋中をうろうろたずね廻りました。やす子の出ていた店は勿論、バーとカフエーを片つ端からたずねあるきまわりましたが全く彼女の行衞《
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