ンをしきりに読んでいたという性格の女であること。大変に理智的な女性であること。これらは注意すべきことの第五。
 次にさだ子自身に脅迫状が一回来た。しかし彼女は事件直後、検事の前に出た途端、自分が殺人犯人と疑われているのじやないかと思つてヒステリカルになつた。と同時に伊達正男の行動に対して嘘を云つた。これが第六。事件後秋川駿三自身は誰を疑つているのか少しも判らない。林田探偵に依頼したのは一体いつだかはつきり判然せぬ、これが注意すべき事実の第七、である。無論まだ注意すべき細かい点はたくさんあるがこれは今までに君に云つたことだからここには省く。
 さて右の七つの事実をよく考えて見たまえ。第一の事実は、犯人が家庭外にいることを暗示、もしくは明示しているが、第二以下第七までの事実は反対に家庭内に怪しい人間がいるのを示しているではないか。いやむしろ、犯人は家庭内にありと信じた方が正しい位だ。
 ところで愈々昨日の事件、第二の事件を考えて見よう。一体犯人は駿太郎を殺すつもりだつたのだろうか、佐田やす子を殺すつもりだつたのかしら」
「僕にはよく判らないが、例の草笛の一件から思うと、犯人はまず佐田やす子
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