ず長女はほんとの子らしいが次女がおかしい。次女は父のたねらしいが母が異《ちが》う。すなわち秋川の主人が他の女につくつた娘をひきとつて自分の本妻の子として育てているらしい。無論戸籍にもそう書いてあるに違いない。この次女が長女とは仲がよくない。これが第二。更にここに不思議な伊達正男という存在がある。これはひそかに今素性を調査しているから何者の子か、ということは近いうちに判ると思うがこの男がこの次女と婚約者になつている。この婚約の条件として父の出している条件がまた普通ではない。これが第三。それが為に夫婦間に争いがおこつていて嘘か本当か妻は誰かに殺されやしないか、と恐れていた。彼女は夫すらもしまいには警戒して寝室の中から夫の寝室の方に向つても鍵をかけてねていた、夫の方は妻の身を案じて、相変らず警戒しろと云つていたということ。これが第四。第一回の事件が起つてから長女のひろ子は積極的にさだ子のことを怪しんでいる。無論その婚約者の伊達も共犯者と信じられているらしい。ここでちよつと参考に云つておくが、ひろ子は非常に探偵小説にくわしいこと。私の所に思い余つてたずねて来たその夜、事件の直前までヴァン・ダイ
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