町の通りをつつきりいつのまにか銀座の裏通りへと出た。
事務所の前に来ると彼は車をとめさせて下りた。賃銀を払つて、合鍵を出してドアをあけスイッチをひねるとまず一息というので机の前に腰かけてスリーキャッスルをすいはじめた。
「一体こりやどうしたつてわけなんだい」
「君が尊敬するわが美《うるわ》しの依頼人秋川ひろ子嬢が十七日の日私を訪問した足取りさ」
「へえ。じや途中で乗りかえたんだね」
「乗りかえだけは大出来さ。さすが探偵小説愛読者だけのことはある。あれでしかし誰からもトレースされないと思つてるから彼女は愛すべきかなだよ。自分の家へ出入りの車に乗つてあそこまで来るなんてなんというノンセンスだ。それにあんな所でまたガレーヂの車にのりかえるとは。さすが大家のお嬢さんだけのことはあるよ」
「どうして君はそれを知つたんだい」
5
「そんなことはわけはないさ。一体もつと早く判るはずだつたんだ。一昨日からあのガレーヂで聞いてたんだが、今の運転手がいつも出ていたのできけなかつた。十七日の午後ひろ子があれに乗つて溜池まで来たというのだ。そこで溜池で今きいて見ると十七日か十八日かおぼえぬけ
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