だが、猿又を取つてある所から係官は一応確かめたものと見える)
 死体はまだ温度をもち、検視前二、三十分に兇行が行われたものらしい。
(この点は読者の既に充分知つておらるる所である)
 なお、死体の横に、庭下駄とおぼしきものが一足ちらかつていた。
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(二)駿太郎の死体附近は茂つた木の下なので余り土は乾燥してはいない。しかも判然とした足跡が見出し難い。が東方に向つて靴の足跡が僅かに発見出来る。くさむら等みだれていないので格闘等のあとはない。
 (靴の足跡と云うのは実は藤枝や林田や私のものであると後に判つた)
(三)駿太郎の死体から東南方約十間程の草の中に血まみれになつた拳大の石が発見された。駿太郎の頭部の傷と符合するから恐らく兇器はこれだろうと思われる。
(四)佐田やす子の死体、他殺と認められる。絞殺、恐らく両手を以てやくさつされたものらしい。多少抵抗したらしい跡がある。猥褻暴行の痕跡はない。死体は東の方に頭をむけて仆れていた。右の二の腕に死の直前に受けたらしい大きなあざ[#「あざ」に傍点]が発見された。多分人間の手で掴
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