まれて出来たものと推定される。死の時間は殆ど駿太郎と同じ。ただしいずれが先に殺されたかは明らかでない。
(五)邸の東南の隅に大きな桜の木があつて塀の所に出ている。犯人は塀外よりよじて庭に下り兇行後、再びもとの道から出て行つたらしく塀の外側に、素足のつまさきについていたらしい土が附着していた。又桜の幹にも足の指の土が残されていた。
(六)なおやす子[#「やす子」に傍点]は下駄をはいたまま仆れていた。
 (この下駄は彼女自身の品であることが後に判つた。)
[#ここで字下げ終わり]

   藤枝の観察

      1

 細かい点を除いて大点判つた所は右の様なものであつた。
 秋川家の南側の石塀を乗り越えて侵入し更にそこから脱出した者のある証拠があるので現場臨検後警察官の一隊はただちにその方面の捜索に取りかかつた。機敏なる警察当局は、殺人事件行わるときいてただちに非常線を張つたこと、既に先の巡査の言葉によつても判るのだがいよいよ侵入者の形跡を見ては捜査は一層厳重に、かつ敏活に行われはじめたことだろう。
 更に被害者佐田やす子の素性、従来の知人関係を調べるために八方に警察隊が飛んだ。やす子は
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