安心した様子もなかつた。無理もない、藤枝自身云つた通り、この有力な三つの力を愚弄して今度の兇行が行われたのだもの。
二人の名探偵もまつたく余り得意になれなかつた。何となく気まずそうに二人は立ち上つた。
「御両所に申しますが、警察の人達に、余りわれわれ親子を手荒く調べないように云つて頂きたい。さんざん訊問しても結果はこんな悲惨な事になるのですからね」
今まで黙つていた主人が急にこんな事を云いはじめたが、藤枝も林田もこれには一言もないと見えて苦笑して部屋を退却した。
それから私らは再びさつきの玄関の側の応接間へと通つた。
「藤枝君、今は同盟[#「同盟」に傍点]という言葉を出したが僕も今度という今度は、もう競争している場合じやないと思うよ、われわれは協力して犯人に向わなくちやならん」
「無論だとも。僕も全くそう考えているんだ」
「そこで同盟の印として今日のことで君が知らないことを一つ云おう。さつき僕が佐田やす子を訊問してそれから二階に上ると、さだ子の部屋の前に、もう帰つた筈の伊達がいて、さだ子と立話をしているんだ。それで僕は、どうしたのかと聞いたら、一旦、この家を出たが思い出した用があ
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