るので裏口から(渡り廊下の入口の事を云うのであろう)来たというのだ。君も知つてるだろうが、裏口からも階段がついているからね」
「それで君はどうした」
「そこで僕はさだ子に用があるからと云つて伊達にすぐ帰るようにいい、僕はさだ子と共に部屋にはいつたんだ。ところでさつきのこの騒ぎで、女中が伊達の家に行つて見ると彼一人きりしかいなくて、雇婆さんは丁度留守だつたというのだ」
「成程、すると、はたして君と別れた後、伊達がまつすぐに家に帰つてそれから今までずつと家にいたかどうかということは判らないわけだな」
「そうさ。もつとも、僕が伊達と別れてから例の事件が起つてそれから女中が迎いに行くまでは十分か十五分位しかないのだから、迎えの女中が行つた時彼がちようど服の上衣をつけていた、というのに不思議はないがね」
「しかしともかく、伊達のアリバイは決して完全ではないな。ところでこの家の中の者は、主人は、事件当時僕とこの部屋にいたし、ひろ子もここにいた。さだ子は君に調べられて二階の室にいたのだから、これも確かだし、初江は女中部屋にずつといたというわけだね」
「そうだ。だからどうも家族の中では皆が皆完全にアリ
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