ろ子もさだ子も、それから三番目の初江もただおどおどしているばかりだ。
「伊達君、君は今来たのかい」
 と藤枝。
「は、ここから急をきいて今しがたかけつけたばかりです」
「伊達君は僕らが来た時、一応ここを辞して自分の家に帰り、和服を制服にきかえて今来た、というわけなんだよ」
 林田が側から説明した。
「さだ子さんは、この騒ぎの時上の部屋にたしかにずつといたんだね」
 かなり無遠慮な質問を、藤枝がさすがに直接ではなく、林田に向つて発した。
 私はこの時さだ子が赤くなつて下をむいたので、ちよつと気の毒なような思いがした。
「ああ、さだ子さんは僕と話をしていた。さだ子さんの部屋でいろいろ質問をしていたんだよ」
「そうそう、君が、窓から顔を出した時、さだ子さんもつづいて顔を出したつけね。それでと、初江さんは?」
「あの初江は、女中部屋で話をしておりましたんだそうです。今日までお調べにまつたく関係がなかつたものですからわざと私があつちへ行つておいでと申しましたので」
 初江にかわつてひろ子がにつこりしながらそう云つたが更に、
「女中部屋にはその時、しまや[#「しまや」に傍点]と久や[#「久や」に傍
前へ 次へ
全566ページ中170ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
浜尾 四郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング