われわれが二つの死体を発見したのは丁度四月二十日の午後八時五十分頃のことだ。
私は、藤枝、林田と共に佐田やす子の死体のかたわらに立つていた際シガレットの火をつけようとしてライターをつけたがその時、左手にはめていた腕時計を見たが、ちようど八時五十二分を指していた。
それから約七分たつてから、警察から刑事数名と野原医師がかけつけた。一方事件は警視庁に報告されたと見え、二十分ほど経つてから沢崎捜査課長、田中技師及び刑事が現場に登場するに至つたのである。
月のないこの夜、まつくらな木立の中を、電燈、提灯をともした制服の警察官等が二つの死体をとりまいて右左に動く様は筆につくせぬ異様な恐ろしさを人々に与えた。
読者の知れる如く、駿太郎、やす子の二人はたつた今七、八分前まで現にわれわれと話をしていたのである。殺人鬼はいよいよその本性を表わしはじめた。僅かちよつとの間に二人の生命を! しかもかくむごたらしく! 夢ではない。事実である。
4
現場に当局者が登場して活動しはじめた以上、多少遠慮した方がいいと考えたのか、あるいは外に思う所があつたか、藤枝は急に私を促して、
「君
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