がきいた。
「秋川さん、林田君がもう来ているのですつてね」
「はあ、今しがた見えたようで私ちよつとお話ししました」
「で、今は」
「今、あの女中を調べておられます」
何故か藤枝は不意に立ち上つてドアの把手に手をかけながらきいた。
「女中つて、あの佐田やす子ですか?」
「そうです」
「そうですか。じや僕も行つて見ましよう」
彼はそういうと私をさしまねいて室を出ようとしたが、それはいかにもあわてた様子だつた。
「いや、藤枝さん、いくら当つても同じでしようぜ。私は昨日も今日も調べたんだが、あいかわらずの供述だ。どうもいつている事に嘘はなさそうです。林田さんだつてやつぱりあれ以上は進みますまい」
こういつたのは警部だつた。
「ここをずつと行つた右手の部屋におられますよ。御案内しましようか」
駿三が藤枝のようすに驚いて腰を浮した。
「いや、いいです」
私が彼につづいて廊下に出ると藤枝は小さな声で、
「うん、やはり林田だけの事はある。僕と同じようにあの女を落そう(自白させる事)としているんだ。先を越されちやいかん。かまわぬから僕にも調べさせてもらおう」
とささやいた。
主人の云つた通
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