長く話していたのを知つておりましたので、さだ子が自分の部屋に戻つた頃を見はからつてそつと母の所に行つて見ました」
「ははあ、そうするとあなたがさつき検事に話されたところと少々違いますね。あなたはさつきはたしかずつと自分の部屋にいたといわれたようでしたが」
「そうでございます。でもほんとのことをあの時申しますと、妹や伊達さんにすぐ嫌疑がかかりそうで気の毒だつたものですから」
「それでお母さんは何と云われたのですか」
彼は相変らず手をこすつていたがこの時、シガレットを一本とつて口にくわえた。
「母は大変に興奮しておりまして、いろいろ申しましたが、結局、父が余りにさだ子と伊達の結婚について二人の為を思いすぎる。自分は結婚には決して反対ではないが、その条件には絶対に反対だ。お前も極力父に反対してくれ、とこう申すのです。それで私も今までの疑念を晴らすのはこの時と思いましたので、お父さんが二人の為を思いすぎるつて、さだ子も私の妹であなたの子ではありませんか、ときいて見ました」
「うん、そうしたら」
「そうしたら母が急に暫く黙つてしまいましたが、突然私に『お前ほんとにあれを私の子だと思つているのか
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