ているから、さだ子の供述は嘘だと思わなければならない。
「そうするとここにまた一つはつきりしておかなければならないことがあるよ。というのは、ひろ子とさだ子はきようだいであり、伊達もあの家族の一人と見ていい状態にある。事件が起つた直後に一人一人取り調べられれば別として、徳子が死んでから数時間経つている際、一人一人調べられてもそれまでにあの連中はどうでも口を合わしておけた筈なのだ。奥山検事もそれを見越していたからああいう訊問法をとつたのだろうと思うのだ。然るにあの有様だ。これはどう考えるべきだろう」
「うん、ひろ子とさだ子とは仲がよくないらしいんだね。少くともひろ子と伊達とが妥協をしなかつたんだろう」
「そうだ。しかしだね。さだ子と伊達とは婚約者だから、何とでも云えるだろうじやないか。それなのに、さだ子は誰も部屋にいなかつた、すなわち伊達が自分の部屋にいなかつた、と云つているのに伊達は平気でそれを話しているぜ」
「成程」
私はちよつとよい説明が浮ばぬままにこう云つてしまつた。
「ありや君ね。さだ子が伊達をかばおうとしたのじやないか、小川、君はどう思う?」
「だつてそれじや肝心の本人が平気
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