でしやべつているのはおかしいじやないか」
「それだよ。さだ子にはああやつてかばう必要が何か感じられたのだ。それだからはつきりとあんな嘘を云つたのさ」
「じや伊達は?」
「伊達はだね。全然嫌疑などかかるとは自分でも全く考えていないか、でなければあの際、ああわざと正直に云つた方が利益《とく》だと思つたのだろう……ところで、最後に佐田やす子という女の供述だが、これは全く簡単にして要を得ている。あれが絶対にまちがいのない事実だとすりや、犯人はどうしても秋川一家の人々の一人、もしくは数名だということになる。だからあの女のいうことはもう一度はつきりたしかめる必要があるよ」
 彼はシガレットのすいがらを灰皿にポンと投げ込んだが、やがて腕をくんでこう云つた。
「たつた一つ確かなことがある。それは例の脅迫状だがね。あれを送つた奴は、二個のタイプライターを使用している。そうして不思議な事には郵送された分と、直接送られた分とがはつきりタイプライターが別になつている。仮りに郵送の部をAというタイプライターでたたいたとすると、直接の方は全部Bという機械で打つているよ」

      2

 藤枝はこう云うと、く
前へ 次へ
全566ページ中128ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
浜尾 四郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング