ぞみ一つかなわずに消えてしまうよ!
(20)[#「(20)」は縦中横]
よい人と一生安らかにいたとて、
一生この世の栄耀《えよう》をつくしたとて、
所詮《しょせん》は旅出する身の上だもの、
すべて一場の夢さ、一生に何を見たとて。
21[#「21」は縦中横]
歓楽もやがて思い出と消えようもの、
古き好《よしみ》をつなぐに足るのは生《き》の酒のみだよ。
酒の器にかけた手をしっかりと離すまい、
お前が消えたって盃《さかずき》だけは残るよ!
22[#「22」は縦中横]
ああ、全く、休み場所でもあったらいいに、
この長旅に終点があったらいいに。
千万年をへたときに土の中から
草のように芽をふくのぞみがあったらいいに!
23[#「23」は縦中横]
二つ戸口のこの宿にいることの効果《しるし》は
心の痛みと命へのあきらめのみだ。
生の息吹《いぶ》きを知らない者が羨《うらや》ましい。
母から生まれなかった者こそ幸福だ!
(24)[#「(24)」は縦中横]
地を固め天のめぐりをはじめたお前は
なんという痛恨を哀れな胸にあたえたのか?
紅玉の唇《くちびる》や蘭麝《らん
前へ
次へ
全43ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ハイヤーム オマル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング