平野義太郎宛書簡
一九三二年四月三十日
野呂栄太郎

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)杞憂《きゆう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から3字上げ]
−−

御手紙拝見いたしました。
一、編集人の件、なるべくなら他の講座同様岩波氏にしていただいた方、万事好都合と思いますので、極力そうしてもらうよう交渉すべきだと存じます。岩波氏としては本講座は出筆者の顔ぶれから見て出版法違反にでも問われることがあってはというようなことを懸念されるのだと思いますが、そのような懸念はほとんど杞憂《きゆう》でしょうし、他のものが編集名義人となっている時、万一そのような危険性のある場合でも、岩波氏が名義人なるが故に却《かえ》ってその厄を免れ得るとも考えられるのです。われわれ編集者としては万全を期してそのような口実を当局に与えないように極力努力することは既定の方針なのだからなるべくなら岩波氏にお願することにしたいと思います。
二、しかし岩波氏の方でどうしても御都合が悪ければわれわれ編集者の間から誰かを選定せねばなりませんが、その場合は、貴下が最適任
次へ
全3ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
野呂 栄太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング