加藤正宛書簡
一九三三年三月十三日
野呂栄太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)病臥《びょうが》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から3字上げ]
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お手紙拝見いたしました。
野村耕作氏の研究は希望閣から出版することに決定、昨年夏頃校了になっているはずです。それが未だに発売できずにいるのは、多分一は希望閣の財政上の理由に、他は私が病臥《びょうが》続きのためお約束の序文を書くことができなかったからだと思います。あとの点ではなはだ申訳なく思っている次第です。で、その当時、私が序文の執筆できるのを待っていては出版が後れるから、そのままで直ぐ出すように市川氏に申し上げたところ、それでは希望閣としては困るから、同人社からでも出すようにして見ようというようなことを言っておられたように記憶します。私のこの記憶にして誤りなければ、他に適当な出版所さえあれば希望閣としては紙型その他を快く譲ってくれるのではないかと思います。
次に、私の序文の問題ですが、これは今日国際的に新しいテーゼが出て、あの問題に対する一般的理解が進んでいるので、
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