なれよ
雀になれよ
お屋根にいつて
雀になれよ
[#1字下げ]夢とり[#「夢とり」は大見出し]
夢とりさん
夢とりさん
お星さんのお夢は
青い夢
青い夢
青い夢
お星さんは夢見て
落ちて来る
落ちて来る
落ちて来る
お星さんのお夢を
とつておくれ
[#1字下げ]羊来い[#「羊来い」は大見出し]
羊 来い
来い
牧場《まきば》は
遠い
小さい 羊は
くたびれる
羊
帰れよ
牧場は
暮れる
かけて帰れよ
トットッと
[#1字下げ]田螺のお家[#「田螺のお家」は大見出し]
日永だ日永だ
たんころりん
田螺《たにし》はお家《うち》を
負《しよ》ひあるく
田螺のお家は
泥だらけ
田甫《たんぼ》で田螺は
たんころりん
たんたんころりん
たんころりん
田螺のお家は
窓一つ
窓からのぞいて
たんころりん
[#1字下げ]あわて鬼[#「あわて鬼」は大見出し]
(鬼の大将)
向う来るのは
何船ぢや
(赤鬼)
『日本一《につぽんいち》』 の
旗立てた
(青鬼)
桃太郎さんの
乗るお船
(鬼の大将)
『日本一』ぢや
そりや強い
(赤鬼)
お伴《とも》も大勢
ついて来た
(青鬼)
桃太郎さんにや
かなはない
(鬼の大将)
ヤ・ヤ・ヤ・ヤ・
それは大変ぢや
(赤鬼青鬼)
大変ぢや
大変ぢや
(鬼の大将)
大変ぢや
大変ぢや
[#1字下げ]鳶の笛吹き[#「鳶の笛吹き」は大見出し]
鳶《とんび》の笛吹き
ピーヨロロ
ピーピ
ピーヨロロ
ピーと吹いた
ピーヨロロ
ピーピ
ピーヨロロ
山から出て来て
ピーヨロロ
ピーピ
ピーヨロロ
ピーと吹いた
ピーヨロロ
ピーピ
ピーヨロロ
[#1字下げ]兎と狸[#「兎と狸」は大見出し]
カチカチお山に
誰がゐる
兎がこつそり
かくれてる
ボオボオお山に
誰がゐる
狸が一匹
かくれてる
カチカチお山は
大火事だ
ボオボオお山に
火がついた
狸は熱くて
逃げ出した
兎が後《あと》から
追つかけた
[#1字下げ]河原鶸[#「河原鶸」は大見出し]
河原|鶸《ひわ》 ビーン
朝から ビーン
ビン ビン
ビーン
糸ひく ビーン
より糸 ビーン
ビン ビン
ビーン
お天気 見てゐちや
糸ひく ビーン
[#1字下げ]霜夜は寒い[#「霜夜は寒い」は大見出し]
霜夜は
寒いな
お星さんよ
お星さんよ
お星さんよ
霜夜は 寒い
野に寝る
小鳥は
お星さんよ
お星さんよ
お星さんよ
可哀さうだな
[#1字下げ]あの山蔭[#「あの山蔭」は大見出し]
あの山越えて
山越えて
あの山蔭へ
水汲みに
スタコラ スタコラ スタコラサ
一桶汲んでは
草にかけ
二桶汲んでは
草にかけ
一桶かければ
葉が伸びる
二桶かければ
花が咲く
あの山越えて
山越えて
あの山蔭へ
水汲みに
スタコラ スタコラ スタコラサ
[#1字下げ]雀踊り[#「雀踊り」は大見出し]
雀踊りは 面白や 面白や
手拍子そろへて 面白や
チンチンチンノチン
ソリヤチンチンチンノチン
手拍子そろへて
面白や
はぐれ雀も 来て踊れ 来て踊れ
手拍子そろへて 来て踊れ
チンチンチンノチン
ソリヤチンチンチンノチン
手拍子そろへて
来て踊れ
雀可愛や ようそろた ようそろた
手拍子そろへて ようそろた
チンチンチンノチン
ソリヤチンチンチンノチン
手拍子そろへて
ようそろた
[#1字下げ]お使ひ鳩[#「お使ひ鳩」は大見出し]
夢のお国の
お使ひ鳩が
お日が暮れれば
お眼《めめ》の上に
ちよいと飛んで来て
ぱさりととまる
一羽《いつぱ》とまれば
また一羽とまる
かはるがはるに
お使ひ鳩は
お日が暮れれば
飛んで来てとまる
[#1字下げ]子供と象[#「子供と象」は大見出し]
子供『象よ 象よ お鼻が
なぜ長い
象『お鼻で お乳を
飲んだから
子供『象よ 象よ お眼《めめ》が
なぜ小《ち》さい
象『幼《ちさ》いとき
居眠りしてたから
[#1字下げ]鳩さん茶買ひ[#「鳩さん茶買ひ」は大見出し]
鳩さん 茶買ひに
行つたとサ
鳩さん お茶買ふて
なんにする
茶釜で沸して
飲むだとサ
ついでに茶柄杓《ちやびしやく》
買ふて来な
茶柄杓買ふのにや
金がない
鳩さん 茶柄杓
見てたとサ
[#1字下げ]ひとり旅[#「ひとり旅」は大見出し]
お空のお月さま
ひとり旅
わが子をたづねて
あるいてる
山にゆきや
茨の蔭のぞき
磯にゆきや
小磯の蔭のぞく
千年 たづねても
子にや 逢へぬ
万年 たづねても
子にや 逢へぬ
[#1字下げ]お供は後よ[#「お供は後よ」は大見出し]
エツサツサ
エツサツサ
お供《とも》は 後《あと》よ
お供は 後よ
お供は 後から
ついて来な
お供だ エツサツサ
お供だ エツサツサ
お供だ お供だ
お供だ エツサツサ
お荷物 エツサツサ
かついで エツサツサ
お供だ お供だ
エツサツサノサ
[#1字下げ]榧の実[#「榧の実」は大見出し]
烏ア畑で
榧《かや》の実 拾《ひ》ろた
たんこ たんこ たんこ
たんころたん と たたく
烏ア 榧の実
たんころたん と たたく
たたけ たんこ たんこ
たんころたん と たたけ
烏ア 榧の実
畑で拾ろた
[#1字下げ]ねむの木[#「ねむの木」は大見出し]
ねむれよ ねむれ
ねむの木よねむれ
夕闇ア来たぞ
ねむの木が
ねむりや
雀もかへる
河原の藪へ
雀よかへれ
夕星ア出たぞ
雀がかへりや
ねむの木もねむる
[#1字下げ]螢の燈台[#「螢の燈台」は大見出し]
お日が暮《くれ》れば
ほたるの燈台
ほたるの燈台
小さい燈台
ぴかりぴかりと
皆光る 皆光る
ぴかりぴかりと
ほたるの燈台
ほたるの燈台
かはゆい燈台
かはりがはりに
皆光る 皆光る
[#1字下げ]鼠・蛙・鬼[#「鼠・蛙・鬼」は大見出し]
鼠に 猫のひげを
ちよいと お見せ
びつくりして
キリキリ 廻つて
すぐ 逃げる
蛙に 蛇の目を
ちよいと お見せ
びつくりして
とびあがつて
すぐ 逃げる
鬼に 鐘馗《しやうき》の面を
ちよいと お見せ
びつくりして
キヤツ と いつて
すぐ 逃げる
[#1字下げ]牛舎の仔牛[#「牛舎の仔牛」は大見出し]
廻れ廻れ
輪になつて廻れ
牛舎《うしや》の仔牛は
ゐなくなつた
親牛ヤ寝たきり
まだ起きぬ
廻れ廻れ
輪になつて廻れ
牛舎の仔牛は
ゐなくなつた
親牛ヤ寝たきり
まだ起きぬ
廻れ廻れ
輪になつて廻れ
牛舎の仔牛は
ゐなくなつた
[#1字下げ]こんこん狐[#「こんこん狐」は大見出し]
[#2字下げ]一[#「一」は中見出し]
急ぎやれ急ぎやれ
この道は
こんこん狐の
出る道ぢや 出る道ぢや
さアさ急いで
通りやんせ
おおこわこわや
狐はこわや
こんこん狐が出りやこわや
[#2字下げ]二[#「二」は中見出し]
急ぎやれ急ぎやれ
この藪は
日暮にや狐の
出る藪ぢや 出る藪ぢや
さアさ日暮ぢや
急ぎやんせ
おお こわ こわや
日暮はこわや
こんこん狐が出りやこわや
[#2字下げ]三[#「三」は中見出し]
急ぎやれ急ぎやれ
この橋は
雨夜にや狐の
出る橋ぢや 出る橋ぢや
さアさ急いで
渡りやんせ
おお こわ こわや
狐はこわや
こんこん狐が出りやこわや
底本:「定本 野口雨情 第三巻」未来社
1986(昭和61)年3月25日第1版第1刷発行
底本の親本:「螢の燈台」新潮社
1926(大正15)年6月15日刊
初出:よいよい横町「東京日日新聞」
1926(大正15)年1月4日
雨降りお月さん第一節「コドモノクニ 臨時増刊」
1925(大正14)年1月
雨降りお月さん第二節(原題 雲の蔭)「コドモノクニ」
1925(大正14)年3月
梅の小枝「コドモノクニ」
1926(大正15)年2月
俵はごろごろ「金の星」
1925(大正14)年12月
田甫の鳥追ひ「日本少年」
1926(大正15)年1月
兎が来い「金の星」
1926(大正15)年2月
狐の提灯「金の星」
1926(大正15)年3月
一本橋「金の星」
1925(大正14)年7月
雪こんこん(原題 雪雪こんこん)「幼年倶楽部」
1926(大正15)年2月
木の葉の駈けくら「少年時代」
1925(大正14)年10月
お馬と仔馬「婦人倶楽部」
1926(大正15)年2月
鳥の番雀の番(原題 番ごつこ)「金の星」
1925(大正14)年10月
鳶のお昼寝(原題 鳶の昼寝)「金の星」
1925(大正14)年11月
お猿の顔「幼年倶楽部」
1926(大正15)年1月
霜夜の狐「コドモアサヒ」
1924(大正13)年11月
雀の使ひ「少女倶楽部」
1925(大正14)年1月
粉雪「週刊朝日」
1924(大正13)年1月1日
カツコ鳥「コドモノクニ」
1925(大正14)年5月
高野山「金の星」
1924(大正13)年9月
はぐれ鳥「金の星」
1924(大正13)年7月
おめめとおてて「コドモノクニ」
1924(大正13)年4月
箱根の山「コドモノクニ」
1924(大正13)年6月
蟹の御飯炊き「コドモノクニ」
1924(大正13)年7月
鼠の嫁入「金の星」
1924(大正13)年1月
かもめ「コドモノクニ」
1925(大正14)年6月
尾上の松「コドモノクニ」
1925(大正14)年1月
機織り「コドモノクニ」
1925(大正14)年2月
鼠の小母さん「金の星」
1924(大正13)年1月
七つ星「コドモノクニ」
1925(大正14)年4月
芒の穂「金の星」
1924(大正13)年11月
影踏み「金の星」
1923(大正12)年10月
眠り亀の子「金の星」
1923(大正12)年11月
雀の機織り「金の星」
1924(大正13)年3月
宮城野の萩「金の星」
1924(大正13)年8月
秋の月(原題 石山寺の秋の月)「金の星」
1924(大正13)年10月
こほろぎ遊び「金の星」
1924(大正13)年10月
かくれんぼ「金の星」
1924(大正13)年3月
雲雀の水汲み「金の星」
1924(大正13)年5月
鶯の夢「婦女界」
1925(大正14)年1月
藪の下道「金の星」
1924(大正13)年6月
赤とんぼ(原題 金魚と鶏)「金の船」
1922(大正11)年4月
お母さんと一緒「児童の心」
1922(大正11)年8月
銀の鈴「児童の心」
1922(大正11)年10月
お客にゆく日「児童の心」
1922(大正11)年5月
柿の木「児童の心」
1922(大正11)年1月
山ほととぎす「少年倶楽部」
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