れたか
あの姉《あね》さまは

たぼが二尺も
垂れこけた

馬にや蹴られぬ
姉さまたぼは

牛にふまれて
垂れこけた

どこで踏まれた
あの姉さまは

裏の畑の
真ン中で


[#1字下げ]日ぐれの花[#「日ぐれの花」は大見出し]

くちなしの花の
白さよ

くちなしの花が咲いた
白い花

くちなしの花は
白い花

つゆくさの花の
青さよ

つゆくさの花が咲いた
青い花

つゆくさの花は
青い花


[#1字下げ]春告鳥[#「春告鳥」は大見出し]

梅の小枝に
春告鳥《はるつげどり》は

ホケキヨ ホケキヨと
来てとまる

ホケキヨ ホケキヨと
春告鳥が

梅の小枝で
言ふことは

風が寒くて
梅の木さへも

花が咲いたり
咲かんだり


[#1字下げ]千羽鶴[#「千羽鶴」は大見出し]

千羽鶴さへ
一羽でもかけりや

九百九十九羽
はぐれ鶴

お月さまでも
片隅かけりや

かけた片隅ヤ
真の闇

はぐれ鶴になりや
啼き啼きさわぐ

かけりやお月さんも
痩せ細る


[#1字下げ]枝垂柳[#「枝垂柳」は大見出し]

枝垂柳《しだれやなぎ》は
お化けに化けな

化けてお化けに
なつちまへ
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