わしや帰へる

刈りに来たのか、眺めに来たか
刈らず眺めて帰るのか
  のびたらそのときや
  刈りに来る


[#1字下げ]春の雀[#「春の雀」は大見出し]

ないてあそぶは
    雀の鳥か

こゑが可愛や
    なくこゑが

遊びほうけて
    雀の鳥が

やぶのこかげで
    啼くこゑが

やぶのこかげで
    雀の鳥が

遊びほうけて
    なくこゑが


[#1字下げ]裏の細道[#「裏の細道」は大見出し]

裏の細道
通ふて来なせ

雨のふる夜に
傘さして

傘の雫《しづく》と
小磯の浪は

ちぐたばぐたで
性《しよう》がない


[#1字下げ]雉子が啼く[#「雉子が啼く」は大見出し]

ねんねん小唄は
子守り唄

子守りの小唄に
いふことにや

山で雉子《きじ》なく
子雉子なく

木の葉をかぞへて
雉子がなく

木の実をかぞへて
雉子がなく

木の葉をかぞへて
日がくれた

日ぐれの明星は
ただひとつ

木の実をかぞへて
夜があけた

夜あけの明星も
ただひとつ

ねんねん小唄の
雉子がなく


[#1字下げ]髱《たぼ》[#「髱」は大見出し]

馬にけら
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