に
十五夜の
月が射すわい
黄楊の櫛
蓼《たで》の穂に咲く
白き花
森の庭燎《かがり》の
火は赤い
稲は刈られし
ふるさとの
堰《せき》に瑠璃《るり》鳴く
田は枯れた
雁は遙《はるか》の
雲に鳴き
秋の九月の
夜はながい
門の扉に
十五夜の
月はてらてら
何照らす。
[#1字下げ]笠岡一口唄[#「笠岡一口唄」は大見出し]
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(笠岡は瀬戸内海に面した岡山県の小邑である。)
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ここは笠岡
笠借りませうか
雨がふるから
笠貸しなさい
笠もないのに
借せ借せと
おやさうかいな
鞆《とも》で借りませうか
仙酔島《せんすゐじま》を
これが貸さりよか
この島を
おやさうかいな
[#1字下げ]速戸の芽刈り唄[#「速戸の芽刈り唄」は大見出し]
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(速戸の芽刈りは門司名物の年中行事の一つである。)
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門司の名物 速戸《はやと》の芽刈り
刈れば刈るほど芽がのびる
刈らなきやのびない
捨てときな
捨てておかりよか、速戸の芽刈り
刈らにやのびない、葉も出ない
のびなきや刈られ
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