田にゐる鳥は
首の長い鳥だ

首の長い鳥は
なんと言ふ鳥だ

鷺の鳥ならば
首の長い筈だ

鴫の鳥ならば
首の長い筈だ。


[#1字下げ]黒猫さん[#「黒猫さん」は大見出し]

夢が気になる
   お月さま

黄色いお月の
   出る晩にや

黒猫さんでも
   来るやうに

うつそりほんのり
   出ておくれ

三角お月が
   黄色なら

三角お月が
   出ておくれ

黒猫さんさへ
   来てくれりや

夜つぴて夜とほし
   まちあかす


[#1字下げ]富士の白雪[#「富士の白雪」は大見出し]

富士の白雪
   お日和《ひより》つづき

一つ眺めて
   みませうかな

やぶでなくのは
   やぶ鶯か

春の日永を
   やぶでなく

富士の白雪
   いつとけるやら

一つ眺めて
   みませうかな


[#1字下げ]春の雪[#「春の雪」は大見出し]

雀とまれや
竹の葉にとまれ

竹に しんなり
雀がとまる

ふれや たまれや
春の雪 小雪

小雪 たまれや
竹の葉にたまれ

竹に しんなり
小雪がたまる

雪は淡雪
春の雪 小雪

雀 とまれや
竹の葉にとまれ

小雪 さつとふれ
雀がとまる



底本:「定本 野口雨情 第一巻」未来社
   1985(昭和60)年11月20日第1版第1刷発行
底本の親本:「野口雨情民謡叢書 第一篇」民謡詩人社
   1928(昭和3)年8月1日刊
初出:田舎乙女「民謡詩人」
   1928(昭和3)年1月
   荷物片手に「民謡詩人」
   1927(昭和2)年12月
   今立小唄「民謡詩人」
   1928(昭和3)年3月
   美濃の関の唄(原題 美濃関町の唄)「民謡詩人」
   1927(昭和2)年10月
   土投げ唄「民謡詩人」
   1928(昭和3)年7月
   絹の裳裾「クラク」
   1928(昭和3)年3月
   岡崎一口唄「民謡詩人」
   1928(昭和3)年6月
   大函小函「民謡詩人」
   1928(昭和3)年4月
   銀座の月「民謡詩人」
   1928(昭和3)年8月
   山ほととぎす「令女界」
   1927(昭和2)年5月
   霧雨(原題 あめ)「キング」
   1927(昭和2)年6月
   旅の民謡 四章「民謡詩壇」
   1927(昭和2)年11月
   山越え 山越え「婦人倶楽部」
   1927(昭和2)年12月
   働け 働け「雄弁」
   1928(昭和3)年8月
   伊奈波音頭「民謡詩人」
   1928(昭和3)年1月
   撫子「キング」
   1928(昭和3)年6月
   煙草「クラク」
   1927(昭和2)年9月
   通り魔の唄「講談倶楽部」
   1927(昭和2)年4月
   砂原「令女界」
   1927(昭和2)年8月
   水がれ田「家の光」
   1928(昭和3)年1月
   棉打唄「早稲田文学」
   1907(明治40)年6月
   山越唄「早稲田文学」
   1907(明治40)年4月
   棧敷の上「演芸画報」
   1921(大正10)年7月
   十五夜「新声」
   1907(明治40)年5月
   雉子が啼く(原題 ねん/\小唄)「少女倶楽部」
   1927(昭和2)年6月
   千羽鶴「婦女界」
   1927(昭和2)年1月
   枝垂柳「コドモノクニ」
   1927(昭和2)年6月
   鏡「キング」
   1927(昭和2)年10月
   田に居る鳥「金の星」
   1927(昭和2)年11月
   春の雪「サンデー毎日」
   1927(昭和2)年1月9日
入力:川山隆
校正:noriko saito
2010年4月18日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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