土筆《ツクシ》ハ
原ツパニ

ツクツク並ンデ
立ツテマス

帽子モ揃ヒノ
帽子 デス

袴モ揃ヒノ
袴デス

ツクツク ツンツン
ツクシンボ

コツチヲ向イタラ
向イタキリ

アツチヲ向イタラ
向イタキリ

ツンツン並ンデ
原ツパニ

ツンツン ツクツク
立ツテマス


[#1字下げ]春が呼ぶ[#「春が呼ぶ」は中見出し]

畑の中から
春が呼ぶ

春は菜種の
花を呼ぶ

菜種も呼ばれて
花が咲き

野原の中から
春が呼ぶ

春は菫の
花を呼ぶ

菫も呼ばれて
花が咲く


[#1字下げ]潮干狩[#「潮干狩」は中見出し]

ハダシデ ピチヤ ピチヤ
シホヒガリ

ハマグリ アサリハ
スナノ ナカ

コガニハ チヨロ チヨロ
ニゲマハル

チヨロ チヨロ コガニガ
ニゲルノヲ

ハマグリ アサリヲ
フミナガラ

ハダシデ ピチヤ ピチヤ
オヒアルク


[#1字下げ]汐干狩[#「汐干狩」は中見出し]

友と連れ立ち
汐干狩

汐干の渚や
遠浅に

拾ふ小さな
貝の数

月の数ほど
打つ波に

汐干の渚も
汐は満ち

いつかあたりは
海となる


[#1字下げ]チンチン電車[#「チンチン電車」は中見出し]

チンチン電車
チン電車

チンチン鳴らして
とまります

チンチン電車
チン電車

チンチン電車
ならびます

あれあれ電車
あの電車

電車と電車が
つづきます


[#1字下げ]春の風[#「春の風」は中見出し]

みんな 出て来い
日の丸持つて

春が 来た来た
愉快だナ

ひろい野原に
大空に

吹く春風は
愉快だナ

手には 日の丸
ひらひら 国旗

春が 来た来た
愉快だナ

靴も軽《か》る軽る
帽子に旗に

吹く春風は
愉快だナ


[#1字下げ]春の田の中[#「春の田の中」は中見出し]

田甫《たんぼ》の 田の中
春になり

泥田に 寝てゐた
田螺《たにし》さへ

朝から 出て来て
遊んでる

   氷が張るから
   寒いから

   田螺は冬より
   春が好き

田甫の 田の中
春になり

蛙も
目を覚まし

朝から 元気で
遊んでる

   蛙も鰌《どじよう》も
   春が好き

   田螺と一緒に
   出てあるく


[#1字下げ]森で啼く鳥[#「森で啼く鳥」は中見出し]

森の 森の
真ン中

背高《せいたか》のつぽの
杉の木に

春に なると
鳥が

チンカラ チンと
とまる

何んと啼いた
鳥だ

青空 見てゐて
啼く鳥だ

杉に ちやんと
とまり

チンカラ チンと
啼いた


[#1字下げ]春の空[#「春の空」は中見出し]

空は奇麗に
晴れてゐる

毎日 毎日
よい天気

遠くの山も
よく見えた

山の上まで
雪が解け

小藪で囀《さへづ》る
鶯に

うれしい うれしい
春が来た


[#1字下げ]菜の花[#「菜の花」は中見出し]

とまれよ とまれ
蝶々よ とまれ

畑の 中の
菜の葉の 上に

蝶々の すきな
菜の花 咲いた

咲いたよ 咲いた
きれいな 花が

菜の葉の 上に
ヒラヒラ ヒラと

蝶々よ とまれ
菜の花 咲いた


[#1字下げ]桜と小鳥[#「桜と小鳥」は中見出し]

山にも 里にも
春が来た

小鳥の お母さん
春が好き

ツーピー ツーピー
ツーピツピツ

小鳥のお母さん
花も好き

花では 桜の
花が好き

ツーピー ツーピー
ツーピツピツ

山にも 桜の
花が咲き

里でも 桜の
花が咲く

ツーピー ツーピー
ツーピツピツ


[#1字下げ]学校の前[#「学校の前」は中見出し]

学校の前は
畑です
畑の菜の花
咲くころに

わたしは入学
したのです
それから今日は
一年目

今年も菜の花
咲きました
わたしは二年に
なりました

畑に菜の花
咲くたびに
毎年 進級
いたします


[#1字下げ]桜花咲く[#「桜花咲く」は中見出し]

咲いて 見事に
ひらひらと

散るも勇まし
桜花

桜の花は
いさざよき

わが日本の
ほこりなり

頃も弥生の
春に咲き

富士の高嶺も
うららかに

人の心も
のびのびと

勇まし ゆかし
限りなく

花の吹雪と
やがて散る

国のほこりの
桜花


[#1字下げ]田螺の泥遊び[#「田螺の泥遊び」は中見出し]

田甫《たんぼ》の 田螺《たにし》は
泥だらけ

お顔が どこだか
わからない

お目々も どこだか
わからない

お顔も お目々も
泥だらけ

たんたん 田螺は
田の中に

朝から 晩まで
泥遊び

あつちへ 転げて
どつこいしよ

こつちへ 転げて
どつこいしよ


[#1字下げ]ひよこ[#「ひよこ」は中見出し]

ひよこのお家は
よいお家
朝からぽかぽか
日があたる

コツココツコと
親鶏が
ひよこを呼び呼び

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