仲のわるい姉妹
野口雨情
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)姉妹《きやうだい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
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ある村に、お杉とお紺と云ふ仲の悪い二人の姉妹《きやうだい》がありました。お母さんは、二人の仲がよくなるやうにと、いつも、心配をしてをりました。
ある晩方、つひ見たことのない、七八つ位のお芥子《けし》坊主が庭へ来て、
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姉のお杉 妹のお紺
仲が悪くば 山の神様の
椋鳥《むくどり》さまに お頼みなされ
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と、山の方を指さし指さし謡《うた》つてをりました。お母さんは、不思議に思つて、庭に出て行きますと、お芥子坊主は裏の橋を渡つて逃げて行つてしまひました。お芥子坊主は、その次の晩方も、次の次の晩方も、同じやうに庭へ来て謡ひました。お母さんが出て行くと、いつも橋を渡つて逃げてゆくのでした。
お母さんは、山の神様をおたづねして行けと云ふ意味の唄だと知りました。ある日、二人の姉妹をつれて山の神様をたづねて山へまゐりました。
一番高い山
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