き》な声で続けざまに幾度も云ひましたが、やつぱり黙つて返事をしませんでした。今度は一人一人、
『今日は、今日は。』
『遊びませう、遊びませう。』
と云つて歩きましたが、誰一人相手になつてくれてがありませんでした。
妹のお紺も、
『今日は、今日は。』
『遊ばせて下さい。』
と云って歩きましたが、皆な聞えない振りをして、後を向いてしまひました。
仲の悪い二人の姉妹《きやうだい》は、ひとりぼつちになつて、ぽかんとして見てをりますと、向ふの丘の上に、大勢の子供達が手をとり合つて楽しさうに遊んでをりました。姉のお杉は、そこへ行つて仲間に入れて貰はうと、丘の下までゆきました。妹のお紺も、一緒に遊ばせて貰はうと、丘の下までゆきましたが、二人は足がすくんで、いくら一生懸命になつても、丘の上へあがれませんでした。
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姉と生れて 妹となつて
仲が悪くて 椋鳥《むくどり》さんに
暗い一本道 送られました
ここは仲よい 姉妹ばかり
仲が悪くば のぼられませぬ
足がすくんで のぼられませぬ
[#ここで字下げ終わり]
と、丘の上で、大勢の子供が謡《うた》ふ唄が聞えました。二人の姉妹
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