大利根八十里を溯る
野口雨情

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)魚不棲《うをすまず》川

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(例)[#ここから2字下げ]
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   前橋の鈴蘭燈籠

 停車場前から市街の外側をめぐる、新にひらかれた八間道路は前橋市の一偉観である。鈴懸けの街路樹が深緑の葉を夕風にそよがせて、見るからに涼しげであつた。夜は鈴蘭の花にかたどつた鈴蘭燈籠がついて、夏の夜にふさはしい『明け易き』といふ感じがある。民謡二篇。
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   ○
来たらよく見な
鈴蘭燈籠
小花四つで
親一つ
   ○
夜の前橋ア
鈴蘭燈籠
お月ヤ出なくも
闇はない
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   榛名と赤城の連山

 西には榛名の連山が見え、北には赤城の連山が見える。前橋市は自然美の中につつまれてゐる都会である。民謡三篇。
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   ○
榛名山から
烏の子でも
おれと遊びに
飛んで来な
   〇
赤城山から
兎の子でも
おれと遊びに
はねて来な
   ○
烏ア来ぬ来ぬ
兎も来ない
おれと遊ぶが
いやなの
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