境の鳥居峠にむかつた。
長野街道はどこまでも吾妻川の本流にそふてゐる。落葉松の林や白樺の交つた雑木林を見ても、如何にこの辺が高原であるかが思はれる。民謡一篇。
[#ここから2字下げ]
◇
雑木林で
白布さらす
可愛や白樺
布さらす
[#ここで字下げ終わり]
やがて嬬恋をすぎて鹿沢温泉についた。吾妻川の本流は渓流となつてしまつた。これ以上水源の探勝は探勝家にゆだねたい。私の目的であつた大利根の支流吾妻川にそふて、童謡を歌ひ民謡を歌ひながらの旅はこれで終つた。鹿沢温泉は上州唯一の高原温泉で四囲の眺望は雄大である。民謡一篇。
[#ここから2字下げ]
◇
浅間裾野の
六里が原も
通へ通へと
風が吹く
[#ここで字下げ終わり]
底本:「定本 野口雨情 第六巻」未來社
1986(昭和61)年9月25日第1版第1刷発行
初出:「東京朝日新聞」
1926(大正15)年7月29日、8月3日、8月4日
入力:林 幸雄
校正:今井忠夫
2003年11月24日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora
前へ
次へ
全11ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング