女の子
異人さんに つれられて
行つちやつた

横浜の 埠頭《はとば》から
船に乗つて
異人さんに つれられて
行つちやつた

今では 青い目に
なつちやつて
異人さんのお国に
ゐるんだらう

赤い靴 見るたび
考へる
異人さんに逢ふたび
考へる


 螢のゐない螢籠

螢のゐない 螢籠
螢は
飛んで 逃げました

今朝目がさめて 見たときに
螢は
飛んで 逃げました

青い ダリヤの葉の上を
急いで
飛んで 逃げました

高い お庭の木の上を
急いで
飛んで 逃げました

螢のゐない 螢籠
さびしい
籠に なりました


 ひばり

雲雀《ひばり》は歌を
うたつてる

畑の歌を
うたつてる

朝から晩まで
うたつてる

菜種が咲いたと
うたつてる

げんげが咲いたと
うたつてる

ピーチー ピーチー
うたつてる


 月の夜

機織《はたおり》虫は
月の夜に
芒《すすき》にとまつて
機を織る

 カンカラ コン
 カンカラ コン

まだ夜は明けない
明けないと
芒にとまつて
機を織る

 カンカラ コン
 カンカラ コン


 くたびれこま

かんぶり ふりふり
かんぶり ふりふり

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