「そだよ」と云つて
笠で顔隠した
「どこへ行く」と、聞くと
「越後の国さ、茶摘みに行くよ
五兵衛さん行かう」と
尻尾出して
見せた
また、ある時はお医者さんに化けてあるきました。
田甫の狐は
薬箱さげて、自足袋はいて
お医者さんにばけた
犬がかけて来たら
薬箱投げて 河原の籔さ
逃げこんぢやつた
犬が行つてしまふと
河原の籔に 首だけ出して
あつち こつち見てた
青野の森
あるとし、わたしの生れた村の田甫《たんぼ》の狐が隣村の青野の森へお嫁にいつた話があります。
田甫の狐は島田に結つて
青野の森さ
お嫁になつた
青野の森の
聟さん狐
とんがりお口
青野の森の
嫁さん狐
とんがりお口
海ひよどり
磯の千鳥
磯が涸れたと
啼く千鳥
沙の数ほど
打つ波は
昨日《きのふ》一日
今日二日
磯が涸れたと
云つて啼く
磯が涸れたと
啼く千鳥
どんど どんどと
打つ波は
親の千鳥も
子千鳥も
磯が涸れたと
云つて啼く
赤い靴
赤い靴 はいてた
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